ナイフを使っていて、「最近、切れ味が落ちてきたな…」と感じる瞬間はありませんか?
切れ味が落ちてしまったナイフは使い勝手が悪いですし、作業内容によっては力んだせいでケガをしてしまう可能性あります。
そんな少し切れ味の落ちてしまったナイフを簡単に復活させられる「革砥(かわと)」は、ナイフメンテナンスの必需品ですが、市販品だと3000円程度と意外と値段がします。
この記事で紹介するのは、100均の材料で誰でも簡単に「革砥」を自作する方法です。コストはわずか数百円で済みます。
革砥を作って、お気に入りのナイフのコンディションを最高の状態に保ちましょう!
革砥(かわと)とは? 刃先を整える「刃の仕上げ」道具
「革砥(かわと)」とは、その名の通り革を使った、刃物の「刃の仕上げ」専用の道具です。
ここで多くの人が疑問に思うのが、「砥石(といし)と何が違うの?」という点でしょう。この2つは、目的がまったく異なります。
砥石(といし):刃を「研ぐ(けずる)」道具
役割: 刃こぼれを直したり、切れなくなった刃を削って、新しい刃先を作り出します。
革砥(かわと):刃先を「整える(みがく)」道具
役割: 砥石で研いだ後に残る微細な「バリ(刃返り)」を取り除いたり、使用中に生じた目に見えない刃先の「欠け」(チップ)を直したりします。
見出しでお伝えした「刃先を整える」とは、まさにこの「バリ取り」や「欠けを直す」作業のことです。
例えるなら、砥石が「木材を削るカンナ」だとすれば、革砥は「表面をツルツルに磨き上げる紙やすり」のような存在です。
ナイフは使っているうちに、刃先がミクロレベルで丸まったり、左右に倒れたりして切れ味が落ちます。砥石で研ぐほどではないけれど、切れ味は復活させたい…。
そんな時、革砥で刃先を「ストロッピング(磨き整える)」してあげるだけで、切れ味が復活します。
そんなナイフの「切れ味を維持する」ために欠かせないメンテナンス道具が革砥です。
目で見てわかるようなチップでなければ、革砥を使ったストロッピングで切れ味を回復、維持できます!
100均で揃う!革砥の自作に必要な材料一覧


革砥の自作は驚くほど手軽で、材料はもほとんどが100均で揃います。
店舗や時期によって在庫状況は異なります。
1. 革砥の「素材」
まずは、革砥の「本体」となるパーツです。
木の板


ダイソーなどの「工作木材」コーナーにある、適度な幅と長さの板を選びましょう。
サイズは幅は6cm以上、長さは25cm以上くらいあると使いやすいと思います。
革のはぎれ


100均の場合は「手芸用品コーナー」にある革のはぎれを用意してください。
研磨剤を塗り込めるように、床面(とこめん=革の裏側の面)が毛羽立っているものを選んでください。
土台の木の板に貼り付けやすい形のものが入っているものを選ぶと、ツギハギが少なくなって尚良いです。
2. 作業に使う「道具」
革砥を組み立てるために必要な道具です。
両面テープ(or 接着剤)
革と土台(木材)を貼り付けるために使います。この記事では「両面テープ」を使用します。
木工用ボンドなどの接着剤でも良いと思いますが、革が消耗したときの張り替えも考えると両面テープの方が扱いやすいです。
元々持っていた3Mの両面テープ使いましたが、それほど強力なテープである必要はないと思います!
革を切るもの
革を木材のサイズに合わせてカットするために使います。この記事では「カッター」を使用します。
専用品でなくて問題ないのでハサミとかでも良いです!
3. 仕上げ用の「研磨剤」
革砥の表面に塗り込み、ナイフの刃先を整える(磨く)ために使う研磨剤は青棒かピカールがおすすめです。
両者は番手(粗さ)が若干異なりますが誤差の範囲内なので、100均で他の材料と一緒に手に入る青棒&オイルの組み合わせで良いと思います。
扱いやすさ的にも個人的には青棒の方がおすすめです。
青棒とオイル


青棒は革砥で使う研磨剤の定番で、ダイソーの工具コーナーなどで「仕上げ研磨剤」として売られていることがあります。
青棒は固形なのでオイルで溶かしながら塗り込みます。
そのため、青棒を使う場合は、オイル(ミシンオイルなど)も忘れずにご準備ください。
それほど高いものではないので、100均で見当たらない場合はAmazon等で探しても良いです。
ピカール


もし青棒が無い場合は、ホームセンターなどで売られている「ピカール」でも代用できます。
ピカールは液体の研磨剤なので、オイルは不要でそのまま革砥に塗り込めます。
超簡単!革砥の作り方 2ステップ
材料が揃ったら、さっそく組み立てていきましょう。 作業はとても簡単で、早ければ10分もかからずに完成します。
ステップ1:革を土台のサイズに合わせてカットする


まず、用意した革のはぎれを、土台となる木材のサイズ(幅と長さ)に合わせてカットします。
はぎれなので1枚で板に合うように切り出すのが難しい場合もあると思います。
その場合は、できる限りスキマが開かないように気をつけながら型を取ってカットしましょう。
スキマや段差ができてしまうとストロッピングの精度に影響が出てしまうので慎重に!
ステップ2:革を土台に貼り付けて完成!
次に、土台の木材側に、両面テープ(または接着剤)を隙間なく貼り付けます。


両面テープの剥離紙を剥がしたら、その上から先ほどカットした革を貼り付けます。
このとき、革の「床面(とこめん=毛羽立った面)」が表になるように貼り付けてください。


全体をしっかり圧着したら100均革砥の完成です!
革砥を使ったストロッピングのやり方
革砥が完成したら、いよいよナイフの切れ味を復活させる「ストロッピング」を行いますが、その前に重要な準備があります。
準備:革砥に研磨剤を塗り込む
作ったばかりの革砥は、ただの「革が貼ってある板」です。
これに研磨剤を塗り込むことで、初めてナイフの刃先を整えられる状態になります。
青棒とピカールとで若干やり方が異なるので、それぞれのパターンを解説します。
「青棒」を使う場合
青棒はオイルに溶かし込む形で塗っていくので、先にオイルを革砥にまんべんなく塗っていきます。
オイルが足りていないと青棒がうまく塗れないので、青棒を塗り込んだあとに余分なオイルを拭き取る前提で多めに染み込ませたほうが良いと思います。


オイルが染み込んだら青棒をこすりつけて溶かし込みます。


革の色的に分かりにくいですが、全体的に青(緑)っぽくなればOKです。


「ピカール」を使う場合
ピカールは液体なので、作業はより簡単です。
まずはピカールをよく振ってから、革砥の床面に少量垂らします。


指や布などで、革の表面全体に薄く、均一に擦り込んでください。


ナイフを使って伸ばしても良いですがが、その場合は刃を潰さないように角度に注意してください!
実践:ストロッピングのやり方とコツ
研磨剤を塗ったら、いよいよストロッピングです。
刃を当てる角度は砥石で研ぐときの角度と同じくらいにして、革砥の上をスーッと滑らすように動かします。
手首を返しながら徐々にナイフを立てて行き、刃全体が均一に当たるようにします。
刃と革砥の角度が重要なので最初は慎重に確認しながら動かしましょう!






裏面をやるときも要領は同じです。






まんべんなく刃先を整えるためには、ワンストロークでやれるとなお良いですが、回数を数えながら部位ごとに分けても大丈夫です。
回数はケースバイケースなので、何回かストロッピングしたら紙を切ってみる、というのを満足のいく切れ味になるまで繰り返します。
基本5分もかからないくらいの軽いメンテナンスです!
角度はきちんと固定しているのにいくらやっても切れるようにならない場合は、ストロッピングでは修復が難しいチップがある可能性があるので、砥石で研いでから再度ストロッピングしましょう。
最後に、ナイフについた研磨剤やオイルを拭き取ったら、刃先の整った切れるナイフの復活です!
調理用ナイフの場合は洗剤等でしっかり洗い、食べても問題ないオイルを塗っておきましょう。
まとめ:自作革砥でストロッピングしてナイフの切れ味を手軽に維持しよう!
今回は、100均の材料を使った「自作革砥(ストロップ)」の作り方から、正しいストロッピングの方法までをご紹介しました。
作り方は10分程度で終わるほど簡単で、コストもわずか数百円です。
日頃からストロッピングでメンテナンスしていれば良く切れる状態を手軽に維持できるので、ぜひこの記事を参考に革砥づくりに挑戦してみてください!
質問や感想、ご指摘などありましたら、記事下のコメントからぜひ気軽に教えてください!

