OD缶には互換性がないと聞いたけど、本当にそうなの?
キャンプには必需品とも言えるOD缶ですが、何の気無く使用するガス器具と違うメーカーのものを使っていないでしょうか?
実はガス器具とOD缶のメーカーは統一することが推奨されています。
でも実際はメーカーが違っても普通に使えていますよね。
本記事では、この謎をOD缶の規格や充填ガスの成分割合などの観点から解説していきます!
最終的にメーカーを統一するかは各自の判断になりますが、決して小さくないリスクもありますので是非最後までお読みいただければと思います。
OD缶の基礎知識
OD缶の互換性について語るために、まずはOD缶のバルブの規格や充填ガスについて見ていきます。
OD缶のバルブの規格
OD缶のバルブには欧州規格「EN417」に基づいた、「Lindal B188」という規格が存在します。
「EN417」はガス缶の材質、構造や検査の要件について規定された規格です。
This European Standard specifies material, construction, inspection and marking requirements for non-refillable metallic gas cartridges with or without a valve for use with portable appliances which comply with the requirements of EN 521.
訳:
欧州規格公式HP
この欧州規格は、EN 521 の要件に適合する、携帯機器に使用されるバルブ付き又はバルブなしの非充填金属ガスカートリッジの材料、構造、検査及びマーキングの要件を規定している。
この「EN417」を元に規定された「Lindal B188」は、バルブの形状や材質を定めたもので、OD缶の品質や安全性に大きく関わっています。
しかし、「Lindal B188」という規格はバルブの形状や材質は規定していますが、寸法については明確な規定がありません。
そのためこの規格に適合していてもメーカーによって形状に若干の違いがあります。
OD缶に充填されているガスの成分
OD缶に充填されるガスには主にブタン(ノルマルブタン)、イソブタン、プロパンの3つあります。
後ろに行くほど寒さに強く、火力が強くなる反面、価格が上がっていきます。
これらのガスの充填割合は各メーカーでバラバラです。
ガスの充填割合については下記サイトで詳しくまとめられていたので、気になる方はチェックしてみて下さい!
OD缶を他社製品で使用するリスク
以上の点を踏まえて、OD缶を他社製品で使用した場合のリスクについて見ていきましょう!
不具合や事故の原因になる
ここまででOD缶の仕様は各メーカーで微妙に異なることが分かりました。
次に実際この微妙な違いによって使用上どのような不具合が生じるのかについて見ていきましょう。
具体的な不具合として発生しうるものには次のようなものがあります。
- 火力低下
- 点火不良
- 燃焼不良
- ガス漏れ
火力低下、点火不良についてはガスの充填割合やガス圧の違いによって引き起こされる可能性があるようです。
この2点に関してはそれほど大きい問題では無いと思いますが、燃焼不良、ガス漏れに関しては注意です。
メーカーによりバルブのサイズ等が微妙に違うことから、接続部を完全に密閉できずそこからガス漏れしてしまい、
その漏れたガスに引火して火災事故になるということも十分にありえます。
ケガ程度では済まない可能性もあるのでこの点についてはしっかり理解した上で使用したいところです。
実際これらが原因で発生した事故例がイワタニ・プリムス株式会社の公式ウェブサイトに載っているので是非目を通してみてください。
ちなみにしっかり読まないと気づかないかもしれませんが、OD缶の注意書きやHPでもメーカーを統一するように推奨しています。
Q4:他社製のボンべも使えますか。
●Answer
お使いいただくことはできません。 カセットこんろは、「指定された専用の器具・容器(ガス)」の組み合わせでお使いいただくことと法令上定められています。(液化石油ガス器具等の技術上の基準等に関する省令)
カセットこんろ | よくあるご質問 | 岩谷産業
Q. 使用容器(ボンベ)について、他社製の容器(ボンベ)は使用できますか。
A. 必ず当社指定の専用容器(ボンベ)をお使いください。器具とボンベはメーカーによって接続部分などが微妙にちがいます。万一他社製容器(ボンベ)を使用して器具の故障、事故があった場合でも保証の対象外となってしまいます。
SOTO 公式HP Q&A
PL法(製造物責任法)の適用対象外になる
他社製のOD缶を使用した場合、PL法(製造物責任法)の適用対象外になることも知っておきましょう。
PL法は製造物の欠陥が原因で消費者が損害を被った場合、製造元の企業に対して損害賠償を請求できるという法律です。
「製造物の欠陥が原因で」という部分が重要で、他社製のOD缶を使用した場合はガス器具とOD缶のどちらに欠陥があったのかを特定することは非常にに困難です。
前述の通りそもそも各メーカーは自社製品との組み合わせに対してのみ安全を保証しているので、他社製品との組み合わせで損害を被ったとしてもそれは欠陥では無いと判断されます。
実際にOD缶にもこの点は記載されています。
ちなみに「生産物賠償責任保険」というのは企業側が入る保険で、PL法に基づいて消費者から損害賠償を請求されたときにその賠償を肩代わりしてくれるといったようなものです。
以上の理由から他社製のOD缶を使った場合にはPL法の対象外となってしまいます。
まとめ:ガス器具とOD缶のメーカーは統一しよう
今回はOD缶に互換性があるのかどうかについて解説してきました。
表面上は互換性があるように見えても、実際には以下のような不具合が発生する可能性があります。
- 火力低下
- 点火不良
- 燃焼不良
- ガス漏れ
また、不具合が原因で損害を被った場合も他社製品と組み合わせて使用していた場合はPL法の対象外となる可能性が高いです。
保証がないだけならまだマシですが、場合によっては命に関わることもあることあります。
他社製品と組み合わせて使用する際はそのリスクを十分理解してから使用しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!
以下に各メーカーが販売しているOD缶のラインナップを記載しておきます。