こんにちは!
ヒロ(@hirocamp232)です!
アウトドアで活躍するOD缶ですが、このような疑問を持ったことはないでしょうか?
OD缶は互換性が無いと聞いたけど本当?
結論から言うと、実はOD缶には互換性が無く、OD缶とガス器具のメーカーは統一することが推奨されています。
でも、実際にはOD缶とガス器具のメーカーが違っても普通に使えていますよね。
本記事では、なぜメーカーを統一することが推奨されているのかを、OD缶の規格や充填ガスの成分割合の観点から解説していきます!
最終的にメーカーを統一するかは各自の判断になりますが、メーカーを統一しないリスクについても解説しているので、ぜひ最後までお付き合いいただければと思います。
OD缶の基礎知識
OD缶の互換性について語るために、まずはOD缶の規格や充填ガスの成分割合について解説していきます。
OD缶の規格
OD缶には「EN417」という欧州規格が存在し、その中でもバルブに関する「Lindal B188」という規格が存在します。
「EN417」はガス缶の材質、構造や検査の要件に関する規格です。
This European Standard specifies material, construction, inspection and marking requirements for non-refillable metallic gas cartridges with or without a valve for use with portable appliances which comply with the requirements of EN 521.
訳:
欧州規格公式HP
この欧州規格は、EN 521 の要件に適合する、携帯機器に使用されるバルブ付き又はバルブなしの非充填金属ガスカートリッジの材料、構造、検査及びマーキングの要件を規定している。
この「EN417」を元に規定された「Lindal B188」は、バルブの形状や材質を定めたもので、OD缶の品質や安全性に大きく関わっています。
しかし、「Lindal B188」という規格はバルブの形状や材質は規定していますが、寸法については明確な規定がありません。
そのため、「Lindal B188」に適合していてもメーカーによって形状に若干の違いがあります。
OD缶に充填されているガスの成分
OD缶に充填されるガスには主にブタン(ノルマルブタン)、イソブタン、プロパンの3つあります。
OD缶に充填されるガスの主成分
- ブタン(ノルマルブタン)
- イソブタン
- プロパン
後者ほど寒さに対する耐性、火力、価格が高くなります。
寒い環境下でも安定して使用できるようにするには寒さ耐性の高いプロパンの割合を増やしたり、
寒さは気にしない場合はコストを抑えるためにブタンを多くしたりと、割合を変えることで用途ごとに適したOD缶が作られています。
また、同じ用途のモデル同士を比較しても、メーカーごとにガスの割合は微妙に異なっています。
良く出回っている製品のガスの割合については、下記サイトで詳しくまとめられていたので気になる方はチェックしてみて下さい!
OD缶とガス器具のメーカーを統一しないことによるリスク
OD缶とガス器具のメーカーを統一しないことによるリスクは、不具合や事故の原因になることとPL法(製造物責任法)の補償が受けられなくなることの2つです。
メーカーを統一しないことによるリスク
- 不具合や事故の原因になる
- PL法(製造物責任法)の補償対象外になる
それぞれのリスクについて詳しく解説していきます。
不具合や事故の原因になる
OD缶とガス器具のメーカーを統一しないと不具合や事故の原因になる可能性が高まります。
具体的には、火力低下・点火不良・燃焼不良・ガス漏れなどの不具合です。
不具合の例
- 火力低下
- 点火不良
- 燃焼不良
- ガス漏れ
OD缶の基礎知識の部分でバルブ形状やガスの割合は各メーカーで微妙に異なるということを解説しましたが、この微妙な差がこれらの不具合の原因となってしまいます。
正直、火力低下と点火不良はそれほどでも無いかもしれませんが、燃焼不良・ガス漏れは特に注意が必要です!
燃焼不良が起こると一酸化炭素が通常よりも多く発生するため、一酸化炭素中毒になる危険性が高まります。
ガス漏れに関しては言わずもがなですが、漏れたガスに引火して火災事故になる危険性があります。
燃焼不良・ガス漏れはケガ程度では済まない可能性もあるので、これらのリスクがあることはしっかり理解しておきましょう。
実際に発生した事故例がイワタニ・プリムス株式会社の公式ウェブサイトに載っているので、気になる方はぜひ目を通してみてください。
ちなみに、しっかり読まないと気づかないかもしれませんが、OD缶の注意書きやHPでもOD缶とガス器具のメーカーは統一するように推奨されています。
Q4:他社製のボンべも使えますか。
●Answer
お使いいただくことはできません。 カセットこんろは、「指定された専用の器具・容器(ガス)」の組み合わせでお使いいただくことと法令上定められています。(液化石油ガス器具等の技術上の基準等に関する省令)
カセットこんろ | よくあるご質問 | 岩谷産業
「指定された専用の容器」以外をご使用になった場合には、ボンベが装着できない、使用途中で火力が落ちる、最初から点火しない、ガスが漏れるといったことが、稀に起こることがございます。
そしてカセットこんろは製造時に、公的機関の検査を受けて合格の認証を取得しなくてはなりませんが、その際にはその器具に「指定された専用の容器(ボンベ)」で検査を受けていますので、その組み合わせで安全性の確保が確認されています。
そのため、必ず「指定された専用の器具・容器」の組み合わせでご使用いただかなくてはなりません。 他社製のボンベにも必ず「◯◯専用」と記載されています。
他社製ボンベはご使用いただけません。
弊社製品には弊社のボンベをご使用ください。
性能などへの影響・事故の際の補償対象から外れるなどの恐れがあります。
【燃焼機器全般】他社製ボンベを取り付けてもよいでしょうか。 – 新富士バーナー株式会社 サポートページ
PL法(製造物責任法)の補償対象外になる
OD缶とガス器具のメーカーを統一しなかった場合、PL法(製造物責任法)の補償対象外になってしまいます。
PL法は製造物の欠陥が原因で消費者が損害を被った場合、製造元の企業に対して損害賠償を請求できるという法律です。
製品不良が原因でケガしたりしたら賠償してもらえるやつです!
”製造物の欠陥が原因で”という部分が重要で、他社製のOD缶を使用した場合はガス器具とOD缶のどちらに欠陥があったのかを特定することは非常に困難なため製品の欠陥ではないと判断されてしまいます。
そもそも前述の通り各メーカーは他社製のOD缶を使わないでって言ってますしね。
そのため、PL法の補償対象外となる可能性があります。
実際、OD缶にもこの旨は記載されています。
ちなみに「生産物賠償責任保険」というのは企業側が入る保険で、PL法に基づいて消費者から損害賠償を請求されたときにその賠償を肩代わりしてくれるといったようなものです。
まとめ:OD缶とガス器具のメーカーは統一しよう!
今回はOD缶に互換性があるのかどうかについて解説してきました。
結論としては、OD缶には互換性が無く、火力低下・点火不良・燃焼不良・ガス漏れなどの不具合が発生する可能性があります。
不具合の例
- 火力低下
- 点火不良
- 燃焼不良
- ガス漏れ
また、このような不具合が原因で損害を被った場合もメーカーを統一していなかった場合はPL法の補償対象外となる可能性が高いです。
補償がないだけならまだマシですが、場合によっては命に関わることもあるのでメーカーを統一しない場合はそのリスクを十分理解しておきましょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
以下に良く出回っているOD缶のラインナップをメーカーごとに掲載しておきますのでご活用ください。